2月も半ばになり、今年度の授業もいよいよ大詰めです。
 この時期は、今年一年間の授業を振り返り、その総括をするとともに、次年度のシラバス作りに着手する時期でもあります。
 特に『論理エンジン』を使う授業ではシラバス作りはとても重要です。

 そこで、今回から数回にわたって先生方と一緒にシラバスを考えていきたいと思います。
 今年度、すでに『論理エンジン』を使ってきた先生方は一年間を振り返りながら、来年度から新たに『論理エンジン』を使う予定の先生方は従来型の指導との違いを意識しながら、『論理エンジン』導入シラバスを考えていきましょう。

 以下、かなり自分勝手なことをしゃべっていくことになると思います。失礼なことも多々あると思いますが、どうかご容赦ください。

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(1)なぜ『論理エンジン』を使うのか

 授業を行うにあたって私たちは教科書をはじめとした、いくつかの「教材」を用いますが、先生はなぜ『論理エンジン』を、その「教材」の一つとされたのでしょうか。もちろん「目的」があって導入されたわけですが、ここでもう一度その「教材を使用する目的」を明らかにしておきましょう。

 このような言い方をすると、なにか「目的」というのは、「最初にあるべきもの」のような印象になると思いますが、実は違いますよね。「その教材を使用する目的」というのは結果的に到達するものであり、最初にあるのは、その授業の「ゴールイメージ」です。

 自分の授業を1年間受けた生徒たちが、1年後にどのような状態になってことを理想とするか…これが授業のゴールイメージです。
 そしてその理想を実際のものとするために、どのような指導が必要なのか。そしてその指導をハイレベルで達成するためには、どのような教材が適切なのか。そして…と考えていく過程において「教材を使用する目的」が定義されてくるわけです。
 
 先生方が『論理エンジン』を使っていらっしゃる、あるいは使おうとなさっているということは、先生方がお持ちになっている「育てたい生徒像=ゴールイメージ」を達成しようとする過程において『論理エンジン』が何らかの役割を果たすであろうという期待感があるということだと思います。

 ずいぶん長くなりましたが、端的に言えば、『論理エンジン』シラバスを策定するにあたっては、「授業のゴールイメージ」と「『論理エンジン』の教材観」とがしっかりとリンクされていることが重要であるということです。

(2)授業の「ゴールイメージ」を具体化する。

 授業のゴールイメージは、それぞれの学校によって異なるものですが、おおざっぱに言えば「生徒が変わること」にあると思います。「変わること」とは「伸びること」と言い換えることもできるでしょう。
 では逆に、生徒が「変わった」「変容した」状態とはどのようになっていることだと先生はお考えでしょうか。これを具体的な箇条書きで、いくつも並べ立ててみてください。(同僚の先生方と出し合ってみると面白いと思います。数多く挙げられる人とそうでない人とがきっと出てくると思います。)

 つぎに、挙げた項目の中から「気持ち」「意識」の「変化・変容」を述べた項目をピックアップし、除外します。いうまでもなく、これらの項目はゴールイメージにはなりえないからです。
 「気持ち」や「意識」が変わることは大切ですが、それはあくまでもステップの一つであって、気持ちや意識が変わることによって、生徒たちの「行動」が変わらなければ意味がありません。

 残った項目の中に「生徒の行動の変化」を具体的に述べた項目がいくつあるでしょうか。
 たとえば、
 「教師の指示なしに、論理マークをつけながら文章を読むことができる。」
 「選択肢を、文の成分に分けて検討している。」
などは、すでに『論理エンジン』導入校の先生方はお考えになるかもしれません。
 一方で、これから導入しようとなさっている先生方からは、
 「現代文の模試の偏差値が、クラス平均で+10ポイント」
という「ゴールイメージ」が出てくるかもしれませんね。(これは「行動の変化」ではなく、「行動の変化の後にもたらされるであろうもの」ですが…)

 いずれにしてもこれらの項目に「正解」はありません。各学校の様子、生徒の様子によって多彩になってくるはずです。
 また、「行動の変容」を意図したゴールイメージが残らなかった場合には、先ほど除外した「意識改革レベル」のゴールイメージをもとに「行動の変容」イメージをつくりあげてみてください。

 ざっくりとですが、およそこのようなルートで「ゴールイメージ」はつかめると思いますので、それを整理して書き出しておきましょう。

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… 次は「『論理エンジン』の教材観」ということになりますが、ずいぶんと長くなりましたので、これは次回にしたいと思います。