今日の報告はセミナーの「第2部」です。

 第2部のテーマは「教科書指導に活かす『論理エンジン』」です。
 教材としては、
  ① 教科書(東京書籍版) 『水の東西』
  ② 論理エンジン OS2
  ③ 思考ルート(東京書籍版)
を使用します。


 『水の東西』は高校1年生で学習する説明的文章の教材として定番であり、多くの出版社の教科書に採録されていることから、このセミナーのように全国から先生方が集まる研修では取り上げやすい教材の一つです。

 今回はOS2の学習ポイントである「文と文との関係」「段落の要点」を指導の観点として、教科書指導の展開事例を研究しました。
 
 はじめに「文と文との関係」をとらえていく基本的なお作法としての「指示語」「接続表現」についての指導法をおさえます。ここでは『思考ルート』を使って整理したうえで、『論理エンジン』で指導するステップを確認していきます。
 私の指導事例を模擬授業形式で聞いていただいたうえで、学びあいに入っていただきました。

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 次に『水の東西』の文章を使っての模擬授業を、生徒の立場で受けていただき、それぞれ段落の要点をまとめていただきます。
 いつもは「教師目線」でとらえている教材を「生徒目線」でとらえていくわけですが、これが上手にできる先生は意外と多くはありません。教師としての指導経験が邪魔をして、論理的な思考ルートを丁寧にたどっていくこと、言い換えれば、生徒のレベルでの論理的ステップを踏んでいくことが、かえってできなくなってしまっているのです。

 国語が苦手な生徒は、教師が「当然そうなるよね」と考えることが、「そうならない」のです。だから国語が苦手なのです
 教師にとっては「当然そうなる」部分には、生徒にとっての「飛躍」が隠されている場合があります。教師から見れば「当然」1ステップのところでも、生徒、特に国語が苦手な生徒にとっては2ステップが必要なのかもしれないのです。
 この「隠れたステップ」を発見するために、先生方には自分たちで作った「答え」をボードに書いていただき、それについて説明をしていただきます。 

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 その「答え」について私がいろいろ質問をしながら、隠れたステップの存在を検証していきます。

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 「『論理エンジン』を教科書指導に活かすのが難しい」という先生方が多くいらっしゃいます。
このイシューを解決するための第一歩は、『論理エンジン』の各レベル、各ステップが「何のために存在しているのか」を、指導する教師が明確に理解しているということだと思います。

 『論理エンジン』は高校生にとってはとても易しい問題ばかりが並んでいるように見えますが、それは取り上げている文章が易しいだけであって、そこで学ばせたい事項が易しいわけではありません。そこには日本語をツールとして、思考力や理解力(読解力)を着実に高めていくための「ステップ」がしっかりとまとめられています。
 従来型の指導方法で教科書の読解指導をしていく教師は、原則としてこの「ステップ」を、「高校生なんだから当然わかっているだろう」と思って(思い込んで)授業を進めているのではないかと私は考えています。

 教科書を指導していく場合でも、目の前の生徒(たち)に、どの部分の論理的思考ルートが欠けているのかの「診断」が適切にできれば、おのずから、どの部分に、どのタイミングで論理エンジンを導入すればよいのかは決まってきます。そのためには、まずは『論理エンジン』の教材研究をしっかり行っておくことが重要になると考えています。
 ※ ここで挙げた「診断」については、あらためて取り上げたいと思います。

 第2部では、今述べてきたような点を中心として先生方と研究を深めることができました。

 第3部は「小説指導」がテーマになります。
 次回の報告とさせていただきます。