昨日(6月15日)、第1回目の論理エンジン授業力向上セミナーを行いました。
台風3号の影響が心配されましたが、雨に降られることもなく、予定通りの開催です。
今回は、このセミナーを私が担当させていただくまでの経緯などをお話ししたいと思います。
このブログをお読みいただいている方々はご承知にことと思いますが、『論理エンジン』は国語力を向上させるだけでなく、頭の使い方そのものを鍛えていくことができる教材です。
中学・高校期間の教科学習に対して高い汎用性をもっているだけでなく、将来にわたって「使い物になる」思考力や判断力、表現力を育てていくために有効な学習プログラムでもあります。
このような教材であるからこそ、学習する生徒にも特徴的な「構え」が必要であるとともに、指導する教師にも独自の指導スキルが求められます。
『論理エンジン』は「将来使い物になる思考力や判断力、表現力を育成するプログラム」ですから、指導者には、生徒の反応に応じて臨機応変に指導を展開していくスキルが求められます。指導内容は対象とする生徒が変われば、当然変わるわけです。
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「論理エンジン指導者セミナー」の開催を出口先生をはじめ、水王舎のスタッフの方々から打診されたのは1年以上前になりますが、そのときに私が感じたのは、「これで『論理エンジン』の指導は、次のステップに進める。」「もしかしたら、日本の教育を変えることができるかもしれない」ということでした。(ちょっと大げさですが)
先ほども述べたように、『論理エンジン』は思考力や判断力、表現力を育てていくためのプログラムです。与えられた素材をもとに、自分で筋道立てて思考し、判断し、その結果を表現していく一連のプロセスをさまざまに試行し、より良いものへと高めていく能力を育成するための教材です。あらかじめ設定されている「正解」に、いかに早くたどり着くことができるかを訓練するドリルではありません。
しかし、現在の生徒たちは「たった一つだけ設定されている正解に効率よくたどり着くこと」を求められ続けており、そのような思考を容認してしまう教師が存在するのも事実です。
(生徒たちは自ら望んで、「たった一つだけ設定されている正解に効率よくたどり着くこと」を求めるようになったわけではありません。
周りからそのように仕向けられてきただけです。「周り」とは受験制度かもしれません、そして教師を含めた大人たちかもしれません。)
この「正解」の呪縛から解放されていない教師は、『論理エンジン』の指導をする際にも、その指導方法について「正解」を求めるようになります。指導マニュアルを欲し、マニュアルがないと、自分の指導に自信が持てなくなってしまうのです。
しかし、この姿勢は、『論理エンジン』が育てたい人間像の対極にあるものです。したがって、当然その指導効果は低くなってしまいます。
一方で、教師も「全能」ではありませんから、自分の指導プロセスについては常に懐疑的です。
(100%の自信を持っていたとしたら、それは逆に問題かもしれません。)
「自分の指導が本当に生徒たちの思考力や判断力の向上につながっているのか」
「学力の向上に結びついているのか」
「今までのように教科書や問題集を使って指導したほうが授業がやりやすい」
(問題集には解説書が、教科書には教師用指導マニュアルがありますから)
そのような状況の中で、日々オリジナリティあふれる指導方法を創造している「論理エンジン指導者」が集まって研修をすることは、日々の指導についての不安を払拭するだけでなく、
① 指導者の指導力(幅や深さ)を具体的に高める。
② 教師としての「意識」を高める。
ことができ、そのことが、今の教育の在り方を変えていく端緒になるだろうと直感的に感じたわけです。
『論理エンジン』によって、生徒が変わる前に教師が変わる…。その第一歩として、このセミナーを担当させていただくことにしました。
次回は、実際のセミナーの様子をお伝えしていきます。


2000年度より開智学園の教育理念を具現化するための新教育システムの構築に取り組み、2005年度に「S類」をスタートさせる。独自に開発した【S類メソッド】の柱の一つに『論理エンジン』を位置づけ、3つの力(論理的思考力、判断力、表現力)の総合体としての「智力」の育成に大きな成果を上げている。また、独自の理論に基づく「ソーシャル・スキルの育成」も人間力の向上に大きな効果をもたらしている。 趣味はギター。
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