毎年、スプリングセミナーで1年生はディベートに取り組みます。

ディベートは国語力の育成だけでなく、
・筋道立てて物事を考える力
・情報を取捨選択し、整理する力
・他人の話を丁寧に聞く力
・自分の考えをわかりやすく表現する力
など、多彩な力(これを私は知的基礎体力と呼んでいます)を伸ばしていくのには
絶好の教材です。

はじめにS類生全員(122名)を大教室に集めて、私が全体指導を行います。
全体指導はおよそ100分間。使用するのは『思考ルート』の付属教材です。

名称未設定 2

この教材には、高校生に身につけて欲しいディベートの基礎知識を修得できる仕掛けだけでなく、論題例に即して準備から実際のディベート・マッチ、そしてジャッジまでを実践的に学習できるような工夫もたくさん盛り込みましたので、今まで全くディベートを体験したことがない高校1年生でも、無理なくディベートに取り組むことができます。

はじめに基本的な用語とお作法を学習し、簡単なテーマのディベートに取り組みます。
論題は「恋の気持ちを伝えるとしたら、電話か手紙か」です。
厳密に言えばディベートではないのですが、それぞれの立場から「立論」を構成してみるのには取り組みやすい課題です。
また、合宿先という「情報収集が極端に制限されている環境」のなかでは、このような「体験に基づく情報」だけで論が構成できるような価値論題が適切でもあります。

ひと通りの準備が終わったところで、各クラスから数班をピックアップし、みんなの前でディベートに取り組みます。
この段階では、「立論」「質疑」「論戦」といった「部分ごと」に私が口を挟み、「良かった点」と「もっと工夫ができる点」を指摘します。この指摘は会場内の生徒全員が共有していきます。

全体指導の最後には、各クラスに対し、セミナー最終日に行う「公開ディベート」の論題を指示しました。
例年は、この論題をクラスで決めるのですが、今年は文化祭への取り組み準備など、LHRで行うことが盛りだくさんであったため、私が4つ提示し、抽選で論題を決めることにしました。
提示した論題は、高等学校の義務教育化の是非や、携帯電話の校内使用の是非など、生徒たちにとって身近な論題としました。

各クラスでは、この日の午後、約3時間かけて準備を行い、クラスの代表チームを選出し、公開ディベートに備えます。
最終日に行った公開ディベートでは、生徒だけでなく、教師もジャッジとして参加しました。

BlogPaintBlogPaint

どのクラスも、短時間の準備にもかかわらず、しっかりした立論を構成しており、論戦も聞きごたえのあるものに仕上がっていました。

公開ディベートの審査をしていて毎年感じるのは、S類に入ってくる生徒の「物怖じしない姿勢」です。
たしかに「論理構成力」や「表現力」はまだまだ荒削りな部分は多いのですが、これらは荒削りだからこそ、これからS類で勉強するわけです。

一方で、その前提となる「表現しようとする姿勢」が不十分であれば、どんなに教師が熱心に指導したとしても、知的基礎体力の伸びは期待できません。
その意味で、S類新入生は智が開発される準備をして入学してきていると感じられるのです。

これは開智高校が入学予定者に2月から行っている「入学準備学習講座」もひと役買っていると思います。
この講座は入学予定者に対して、入学前に4回程度高校に来てもらい、「考えること」「発信すること」を学んでもらうために行っているものなのですが、その成果がスプリングセミナーで早くも発揮されているのだと実感しています。

******************************************************************************
今週から、いよいよ本格的に授業が、そして放課後特別講座がスタートしました。
授業の様子も、近々報告したいと思います。