今日は盛岡から岩手県立高校の先生方4名が授業見学にいらっしゃいました。
県内屈指の進学校の先生方です。

『論理エンジン』の授業の見学をご希望だったのですが、
あいにく現在はディベート学習に取り組んでいる時期でしたので、
ディベートの授業を中心に、少しだけ『論理エンジン』の授業を見ていただくことになりました。

私の授業は外部の方が見学されることが非常に多いので、生徒たちも見学されていることに
違和感がなく、自然な雰囲気の授業をご覧いただけています。

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今回の授業のテーマは「論題の分析・定義」と「立論構成の準備」です。


 
 …前回の授業で生徒たちは、以下の手順で論題を決めています。
   〈わたしの授業は通常2クラス合併で行っています。)

  ①一人一人が取り組んでみたい論題を1つ紙に書く。
  ②4人のグループでそれぞれの論題を持ち寄り、1つの論題に絞り込む。
    ・各クラス内で9つのテーマに絞られています。
  ③4人グループが4~5班集まって、その中で1つに絞り込む。
    ・各クラス内で2つのテーマに絞られています。
    ・2クラスで合計4つのテーマに絞られています。
  ④4つのテーマをボードに書き出し、1つに絞り込みます。

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  以上の結果、今回の論題は
  「日本は死刑制度を廃止すべきである。」
  となりました。
  論題としてはオーソドックスなものに落ち着き、ちょっと残念な気がしましたが、
  練習題材としては適切なテーマであるともいえます。


このテーマについて、今日は「分析・定義」を行います。

ディベートの入門期の指導においては、論題の「分析」と「定義」の指導が
とても重要です。
通常、論題の定義は「肯定側」が行うのですが、ディベートに習熟していない段階だと
この「定義」が適切に行えません。
また、肯定側が定義していても、否定側がその定義を無視した主張をしてしまい、
議論がかみ合わなくなってしまうことも頻繁に起こります。
したがって、入門期においては肯定・否定の立場を決める前に全員で論題を分析・定義
させる必要があるのです。

さて、論題分析・定義です。論題をパーツわけし、各パーツについてまずは個人で
分析していきます。それを持ち寄って、数人のグループでさらに検討を重ねます。

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(ここでの手順をすべてこのブログで紹介すると膨大な量になってしまいますので、割愛いたします。
この手順については『思考ルート』別冊のディベート教材に書いてありますので、参照されたい方は
水王舎にお問い合わせください。)


話し合いの結果、今回の論題について生徒たちは以下のような定義を導き出しました。

「法治国家かつ民主主義国家である日本は、法により命を奪う死刑という制度を
廃止すべきである。」

論題についての定義が共有できましたので、次に「情報の収集」と「立論の作成」という段階に
進みますが、ここで一度『論理エンジン』の学習に戻ります。扱う教材はOS2:L14です。
ここでは、「文章の要点をまとめる」ことを学習します。

論理的な読解と、論理的な文章作成とは表裏一体の関係にあります。今回生徒たちは
ディベートの立論作成を行いますので、その立論を論理的に、わかりやすく構成させて
いくために、このタイミングで
「文章の要点とは、文章の中でどのように立ち現われてくるのか」
ということを『論理エンジン』を使って確認させておくことは極めて効果的です。

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……今回の授業では、この後ディベートのチーム編成をし、立場を決め、次回の授業までに
情報を収集しておくことを指示したところで時間となりました。

この続きは、またこの場で紹介していこうと思います。

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盛岡からお越しいただきました先生方とは、授業終了後に、今日の授業の振り返りを含めまして、約2時間、いろいろなお話をさせていただくことができました。

東京・埼玉をはじめとして、関西・中部地方の先生方とお話をさせていただくことは多いのですが、
東北の先生方とお会いする機会は、今まであまりありませんでした。ですから、今回ご訪問いただき、たくさんの情報交換をすることもでき、とても勉強になりました。
また、「生徒たちの思考力を伸ばしたい」という強い思いをもって日々指導にあたっている仲間が東北にもたくさんいることを知り、とても心強く感じました。

日本各地で奮闘されている先生方に負けないように、わたしも一層努力していきます。
先生方、本日はありがとうございました。