S類には、その教育理念を具体化するための大きな柱が2本あります。
一つは『論理エンジン』『思考ルート』。
これは、論理的な思考力や判断力、表現力を育成するための取り組みです。

もう一つが「Contemporary issues」。
これは、課題発見・解決力とコミュニケーション能力を育成するための取り組みです。

どちらの取り組みも短期間に行うようなものではなく、約2年間かけてじっくりと取り組む、
S類の教育活動そのものといえる内容です。

さて、今回は「Contemporary issues」の第1回中間発表(1年次発表)に向けての
準備段階での、生徒たちの様子を報告したいと思います。

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「Contemporary issues」とはその名の通り、「現代社会が抱える諸問題」について考察をする
取り組みです。

生徒たちは自分の興味・関心からスタートし、現代社会における問題のリサーチを通じて、
自分の研究テーマを設定していきます。
研究テーマがある程度定まると、テーマの分析、仮説の構築、理想形のプランニングなど
の諸活動に入っていきますが、学期中は授業をはじめとした様々な活動があるため、
多くの生徒は夏期休業期間を使って研究を進めることになります。
そして、ここまでの研究の成果を発表するのが「第1回中間発表」なのです。

この「第1回中間発表」は約2週間をかけて、すべての生徒がクラスメートの前で発表します。
発表のメイン形式は「ポスター・セッション」です。
ポスター・セッションのほかに、全員が研究経過をまとめたレポートも提出します。

レポートについては、多くの生徒たちが取り組み慣れていますが、ポスター・セッションに
ついては初めて経験する生徒がほとんどであるため、どの生徒たちも試行錯誤しながら、
ずいぶんと苦労しているようです。

2学期最初の現代文の授業では、ポスター・セッションでの発表に向けて、国語的な観点から
プレゼンテーションのクオリティを高めていく学習を行います。
基本となる学習形態は「学びあい」です。

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最初の学習テーマは「わかりやすく伝えるとはどういうことか」です。

一口に「わかりやすく」とはいっても、その中身は漠然としています。
(これは生徒に限らず、大人でもそうであると思います。)
その原因は一つ。 「わかりやすい」とは何かということが「定義されていない」ということです。
そこで、この定義づけから授業がスタートしました。

はじめに次のような課題を生徒に与えます。
「『わかりやすい』とはどういうことか、それを端的に表現しましょう。一人15個挙げて下さい。」

ほとんどの生徒が「15個も…」といった反応です。
おそらくどの生徒も5つくらいはパパッと出てきます。そしてそこで手が止まります。
しかし、ここからが勝負です。考えて、考えて、考えて、何とかひねり出していく。
この活動が生徒たちの思考力を鍛えていきます。

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じっとレポート用紙を睨み付ける生徒、天を仰ぐ生徒、ペン回しを始める生徒、
なかには視点が定まっていないような生徒もいます。
みんな必死にひねり出していきます。

10分間時間を取りましたが、多くの生徒が10個前後で、ほぼ手が止まっています。
そこでこちらから「マインドマップ法」について簡単にレクチャーするとともに、イコールの関係や
因果関係、対比の関係などを意図的に使って「もう一押し」するようにアドバイスをします。

これにより、さらに数個を上乗せすることができた生徒が多数出てきます。

ここまででおよそ15分間。自分一人の脳みそを使うのも、もう限界です。
そこで次のステップに移ります。もちろん学びあいです。
今回の学びあいは2段構えで行いました。
最初は4人グループ。次に、4人グループ+4人グループ=8人グループです。

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相互に発表しあいながら「自分と共通の視点」と「自分では気がつかなかった視点」とを
それぞれ相互確認していきます。

最後に、グループごとに数個ずつの定義をボードに書き並べていき、
「クラスとしての15個の定義」を完成させます。

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自分一人の力ではなしえなかった「15個の定義」が、チームで取り組むことにより、
整理され、さらに練られた定義となって、自分たちの目の前に現れます。

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夏休みが終わったところで、生徒たちの脳みそは、やや「休みボケ」状態だったかもしれません。
しかし、この1時間の取り組みで「深く思考すること」「学びあうこと」を取り戻してくれました。

次の時間は、この定義をもとにポスターと向き合っていきます。