学校の教師には、授業以外にもたくさんの業務がありますが、そのなかでも授業に次いで多くの時間を費やすのが部活動の指導です。
春から夏にかけてのこの時期には、各種の大会が目白押しで、引率業務も多くなります。
公式戦などの引率に出かけるときには当然授業はできませんので、その授業は他の教師と交換することになります。
開智ではごく特殊な例外を除いて、教師の出張に伴って授業が「自習」になることはありません。
当たり前のことですが、生徒は「自習」するために学校に来ているわけではありませんから。

さて、そのような背景があって、昨日は2時間分、数学の先生との授業交換があり、現代文の授業を行いました。
今年度のわたしの授業は2クラスを合併で行っていますが、交換授業でしたので、この日は1クラスずつの実施です。幸い、担当している2クラスについて各1時間ずつの交換なので、授業進度に差が出ることはありません。

今回の授業のテーマは『羅生門』を教材として、
アウトライン読みのメリットとデメリットを体感すること。
です。

すでに生徒たちは『思考ルート』と『論理エンジン』とを使って小説文の読み方については学習しています。
つまり、「鑑賞力」と「読解力」との違いについては知っており、「読解力」を高めるために、これから学習をしていくという「めあて」は共有されている状態であるということです。

はじめに「思考ルート6」の確認を行った後で、各自がアウトライン読みを行います。
「思考ルート6」により、場面の変換点(変数xの範囲=定義域)を意識しながら生徒たちは読み進めます。

各自の読解が終わったところで「学びあい」に移ります。
今日はいつもと違う教室での学習ですので、グループのメンバーも異なります。
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各グループでは、場面をどのように切り分けたかをテーマに話し合いを行います。
議論の中心的な観点は「なぜそこで切り分けたか」ということです。

グループでの話し合いの結果は、黒板で発表します。そして、各グループの「分け方」について
相互に確認しあいます。

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生徒たちの「分け方」はさまざまです。それぞれの分け方には、それぞれの理由がきちんとあり、
その意味で、すべての分け方は「正解」です。
しかし、同時に生徒たちには、次の点についても考えてもらいます。

「思考ルート6に当てはめて心情(y)にアプローチしようとしたとき、xの範囲にこれほどの違いが出てよいのだろうか。そして、xの範囲に違いが出る原因はなんだろうか。」

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「思考ルート6」の理屈は理解している生徒たちも、現時点ではアウトライン読みをしていますので、場面の切り分け根拠はブレてしまっています。
この状態でいわゆる「小説問題」に取り組むと、心情問題で失点することになります。

今回の授業を通して「アウトライン読みのメリットとデメリット」について実感することができましたので、次は「ディテール読みのメリットとデメリット」に学習を進めます。