このセミナーで、1年生は徹底的にディベートを行います。
ディベートは現代文学習の究極目標であるとともに、ソーシャル・スキルを高める
ためにも非常に効果的な学習事項です。
今回の合宿のように、初めてであったクラスメートとクラス集団を形成していく過程でも
非常に効果的な活動といえます。
ディベートについては中学校で学習してきた生徒も何人かいますが、多くの生徒は初めて
取り組みますので、まずは「ディベートとは何か」というところから始めます。
今回は『思考ルート』に付属しているディベート教材を用いて指導をしました。
S類に入学してきた1年生は約170名いるので、体育館での指導となりました。




ひと通り、テキストでの学習が終了した後で、早速、サンプル。ディベートに取り組みます。
合宿先ということで、生徒たちは情報収集の手段を持っていないため、身近な価値論題を
取り上げます。
今回のテーマは「恋の気持ちを伝えるとしたら、手紙か、電話か」としました。
それぞれが自分の支持する立場に立って、
①その立場を支持する根拠。
②異なる立場を支持する人の根拠の予想。
をシートにまとめます。


①・②ができあがると、次はそれらを持ち寄って、グループでの話し合いです。
同じような根拠を挙げている人もいれば、自分とは違った観点でテーマをとらえている人が
いることに、子供たちは気づきます。
ワイワイと話し合いをしているチームもあれば、何やら真剣に話し合っているチームをあり、
見ているだけでこちらがわくわくするような学びあいが展開されています。




それらの話し合いが一段落したタイミングで、教師が各立場6名ずつを指名し、
サンプルディベートを行います。
サンプルディベートとは、一応のフォーマットに従ってディベートマッチ進めながらも、
途中途中で試合を止め、指導をしていくディベートです。〈わたしの勝手な名付けです〉
ディベートはテキストで学ぶよりも、実践を通して学んで行った方が効果的です。
その意味で、サンプルディベートは有効な手段だと考えています。


一連の全体指導は約半日かけて行います。
午後からは、今度はクラス単位でディベートに取り組みます。
クラスでは論題の決定からはじめ、最終的なディベート・マッチまで仕上げることが
求められています。
とはいっても、指導する担任は、国語の教員ばかりではありません。
今年のS類1学年スタッフは国語・数学・英語・理科・地歴公民が各1名ずつです。
もちろんすべての教員がディベート指導に長けているというわけでもありません。
しかし、ここでは教員のディベート指導力はあまり問題にはなりません。
なぜなら、教員に求められていることは、生徒たちが伸び伸びとディベートをすることが
できる環境を作ることだからです。
ディベートの導入期では、教師が先頭に立って指導力を発揮するよりも、生徒たちが
自分たちの意思でディベートを経験していくことの方がはるかに重要です。
我がクラスの生徒たちが一体どんなテーマを持ち出してくるのか、担任はハラハラしながらも、
平静を装って見ていれば良いのです。
最終日には、各クラスの代表がみんなの前でディベートを行います。