今回は「理科」の学びあい授業について取り上げます。

教科名:生物Ⅰ
単元名:環境と動物の反応
     ・刺激と動物の反応
      ・光の受容と目
クラス:2年生(理系) 生物選択者

本時の学習テーマは「錯視」についてです。

すでに目の構造などについては学習は終わっており、今回は

「学習した内容を、体験を通して確認する」

ことが「学びあいの場面」として設定されています。

はじめに次のシートが全員に配布されました。

FraserSpiral_vector
First presented by Fraser (1908); Reproduced by Akiyoshi Kitaoka (2009)


(授業者) この絵が、みなさんにはどのように見えますか。

生徒たちは口々に見える物を発表し始めます。

BlogPaintBlogPaint

「真ん中に花が見える」
「花というか、桜でしょ?」
「星じゃないの?」
「目が回るね」
「吸い込まれそう」…

この時点では、この絵が「渦巻き」であることに疑いを持っている生徒は一人もいないようです。


しばらくお互いに感想を発表し合っているなかで、ひとりだけこの「渦」を指でたどっている
男子生徒が出てきました。
傍から見ていると、彼は何度も何度も指でたどり、最後には鉛筆でたどり始めました。
そして、やっと自分の思いに自信が持てたようです。

「これって丸じゃない!?」

すかさず授業者から質問が飛びます。

(授)「丸って? 言い換えると?」
(生)「丸っていうのは … 円です。」

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このやり取りに対して、すぐに周囲の生徒が反応します。

「えっ? 円なの?」
「ほんとだ、ほんとだ」
「でも、私のは渦だよ」
「えっ、ちょっと待って。こうでしょ、… ほら」

なかには、指でたどってもどんどん内側に引き寄せられてしまう生徒もいて、
互いにあれこれ話しながら、「錯視」を体験しています。

この段階で「真ん中に花が見えていた」ことなど、すっかりどこかに行ってしまい。
生徒たちの興味・関心は「どうして渦巻に見えるんだろう」という一点に一気に集中しています。

(次回に続きます)