(5)立論の作成
立論の作成において重視して指導しているのは「端的でわかりやすいこと」、つまり
「論理的であること」です。
生徒たちには年度当初に「PREP法」を教えてあり、通常の授業中でも、また毎回の
授業で取り組んでいる「マイコン」においてもPREPは常に意識させるようにしています。
立論は2分間です。時間は十分にあるので、かえって冗長になることが想定されます。
十分に論理構成された立論になるよう、アドバイスを与えていきます。
(6)他派の立論の予想、自派への質問の予想
前述のように自派の立論は十分に準備しますので、どのグループもそれなりの
クオリティのものが出てきます。ところが実際にディベートマッチを行うと質疑応答
および論戦の場面でほぼ議論にならないケースがしばしば出現します。このことの
原因は唯一であり、それは「相手の立場に立って物を見ること」の欠如です。
学校でのディベート学習はできるだけ授業時間で完結するようにしていますので、
生徒たちが持っている時間量が絶対的に不足しているため、これはやむを得ない
ことなのですが、グループ内で役割分担をするなどの工夫をして、できるだけ「相手の
立場から論題を斬る」ことも経験させていきます。
(7)サンプル・ディベート
一通りの準備が済んだところで、一組をサンプルとして選び、ディベートマッチを
行います。
このディベートマッチは時間通りに進行するのではなく、途中途中で私が口を挟み、
修正すべき点を指示したり、課題点を生徒たちに考えさせたりします。
実践から学ぶことで、特に質疑応答や論戦の場面での躓きにどう対応すべきなのか
考えさせていきます。
続きは、改めてご紹介したいと思います。
2017年10月
(1) ディベートの仕組みの確認
生徒たちは入学後の合宿で、簡略版ではありますがディベートに触れています。
そこで今回の学習では、前回の学習を思い出しながら、テキストを使ってしっかりと
学習していきます。
テキスト:『ディベートで論理的な思考力、判断力、表現力を身につける』 (水王舎)
(2) 論題(テーマ)の決定
生徒には「一人ひとつ、テーマを考えておくこと。そのテーマは政策論題が望ましく、
もちろんディベータブルであること。」と指示を出してあります。
今回のクラスは32名クラスなので、32個のテーマが集まりました。内容的に近いものが
3つあったため、それらは集約し、29テーマから4つのテーマと投票によって決定します。
※ 私の授業では、普段からグループ学習(学びあい)が基本スタイルとなっており、
32名のこのクラスでは、4人1グループ計8班が基本となる学習サイズになってい
ます。したがってディベートも8班での取り組みとなるため、4つのテーマが必要に
なります。
※ 1つのテーマにクラス全体で取り組む方法もあります。私はディベート学習を通して、
少しでも多くの事柄について思考させたいと考えているので、テーマが多くなってい
るだけです。
今回、生徒たちが選び、そして「定義」したテーマは以下の4つです。
A:(難民受入)
日本は戦争や天災から逃れてきた難民の受け入れを行うべきである。
B:(AⅠ開発)
世界中の研究機関および企業はこれからのAⅠ開発を中止すべきである。
C:(義務教育)
日本は中等教育を無償化し、親が子に教育を受けさせる義務を負うべきである。
D:(飛び級制)
日本は、いわゆる”飛び級”の考え方を制度として許可するべきである。
(3)担当論題と立場の決定
各班の代表者による抽選で、すべて決定します。
(4)情報収集と整理
各班には模造紙を1枚ずつ配布し、4分割で情報を整理する方法をレクチャーします。
また、情報の収集と整理のため、「情報カード」を配布するとともに、「ふせん」の活用
方法をアドバイスしました。
次回に続きます。
2000年度より開智学園の教育理念を具現化するための新教育システムの構築に取り組み、2005年度に「S類」をスタートさせる。独自に開発した【S類メソッド】の柱の一つに『論理エンジン』を位置づけ、3つの力(論理的思考力、判断力、表現力)の総合体としての「智力」の育成に大きな成果を上げている。また、独自の理論に基づく「ソーシャル・スキルの育成」も人間力の向上に大きな効果をもたらしている。 趣味はギター。