2016年04月

4月26日

「第2回」 4月26日 3・4時間目

教材:『思考ルート』『OS1』


(1)授業の流れ

  ① 「マイコン」

    今年度の授業は「My concerns ~私の関心事 ~」、通称「マイコン」からスタートします。

    〇「マイコン」とは。
      生徒たち全員が1週間にひとつ、自分の気になることをとりあげ、それを1分間程度
     で発表できるようにまとめてきます。ニュースキャスターが1つの記事を読み上げる、
     あのイメージです。
      関心事は時事ネタでもよいし、今までの生活の中で気になっていることでも構いませ
     ん。発表する生徒は、その場の抽選で決定します。

     一方で、生徒たちは4名で1グループを作っています。グループ内の1名が発表者に
    なると、自動的に他の3名は「コメンテーター」となります。
     発表者が取り上げた「マイコン」について、その場で即座にコメントしなければなりませ
    ん。どんな話題が取り上げられるかは発表されるまで全く分からないのです。

     発表者はあらかじめ原稿を準備することができるので、その意味においては緊張しま
    せん。
     それに対しコメンテーターは臨機応変に、そしてできれば「ウマい」コメントをしなければ
    ならないので、実に大変です。日ごろから興味関心の幅を広げ、時事問題は毎日チェッ
    クしておくといった姿勢が必要になってきます。

     かなりハイレベルな取り組みですが、開智が目指す人材の育成のためには、もってこ
    いの仕掛けだと考えています。

     今回の発表生徒が取り上げたテーマは「東京五輪のロゴが決定した」というものでし
    た。
     発表者の解説もとても分かりやすいものでしたが、それ以上に各コメンテーターの
    コメントが素晴らしく、生徒の能力の高さに、改めて驚かされました。
     3人がコメントするのですが、前の生徒のコメントとかぶらないように工夫していたり、
    違った視点からのコメントしたりと、とても多彩なものとなりました。

     ただ、意地悪な見方をすれば、今回のテーマはニュースなどでも大きく取り上げられ
    ており、多くの情報をコメンテーターがあらかじめ持っていたともいえます。
     これから先、自分が全く知らないことや、「聞いたことはあるけど…」といった程度の
    ことがテーマとして取り上げられたときこそ、真価が問われるのだと考えています。

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  ② 授業本体に入ります。

     今回の授業は、「言語」「認識」「コミュニケーション」の相互関係を考えることから
    スタートしました。
     「認識」を定義してみること、「コミュニケーション」の様相を場合分けしてみること
    などを、教室の窓から見える景色や、目の前にある様々な「事物」を通して話し合って
    いきます。
     まとめには『思考ルート』を使いました。あっという間の50分です。

  ③ 論理エンジン レベル1~3のおさらい

      先週学習した「述語ー主語」の関係、あるいは要点と飾りの違いなどをざっとおさら
    いします。

  ④ 論理エンジン レベル4

      レベル4は「文の要点」がテーマです。個人個人で取り組んだ後、グループになり、
    それぞれの思考ルートを相互に発表、検証し、それを黒板で発表します。

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      各般の発表を全員で検証しながら、「述語の認定」については、複数の視点が必要
    であることに気づいたところで、今回の授業は終了となりました。

(3)まとめ

   現代文の学習は、思考力だけでなく、学習姿勢そのものに直結していることに、生徒も
  教師も気づくことができれば、より楽しく、有意義に学習を進めることができるのでは
  ないでしょうか。

4月19日

今年度の学校での通常授業は13日から始まりました。

私が担当するクラスは1年生の1クラスだけです。
もっと多くの生徒に教えたいのですが、ほかの業務との関係でそうもいかず、
それでも1クラスの担当だけは死守しています。

今までこのブログでは授業の様子だけでなく、学校行事や研修、講演の様子などを
報告してきました。

今年は「授業の記録」を中心に、ここに残していこうと考えています。

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「第1回」 4月19日 3・4時間目

教材:『思考ルート』『OS1』

(1)初回授業の留意点
   ・論理エンジンをメイン教材に据えた授業においては、導入指導はとても重要。
   ・論理エンジンとは何かを知らない生徒がほとんどですし、「論理を学ぶ」といわれても
    ピンとこない生徒が大半なので、学びの動機をわかりやすく喚起する。
   ・特に配慮しなければならないのは、次のような生徒たち。
     → 今までに、いわゆる「問題演習※」をすることが「学習」であり、特定の集団の中で
        の「偏差値」が上がることが、「学力が上がること」だと思っている生徒たちです。        
            ※ 一定量の課題文が示され、その中に傍線が引かれていたり、空欄部があったりし、
              それらについて言い換えや理由説明を求められる、従来型学力の計測装置。
     → この種類の生徒たちの多くは、確かに「偏差値」は高い生徒が多いのですが、
       そのことは「学力が高い」ことと等しくはありません。さらに彼らが知り得ている
       偏差値も、本校の例でいえば、たかだか埼玉県、あるいは首都圏の中学生
       (それも全員ではない)を母体とした極めて限定的な偏差値に過ぎません。
       しかし、「偏差値の高い」生徒の多くはそのことを正しく自覚していないため、
       論理エンジンが意図している「本質的な学び」の枠組みの中に入ってこられない
       のです。
     → したがって、彼らに対する指導上の配慮とは、現時点においては彼らのプライド
       である「偏差値」を否定することなく、一方で「本質的な学び」の愉しさを実感させ
       るような仕掛けを作る、ということになります。

(2)授業の流れ

   ① 『思考ルート』導入部を使って、これからの学びの目的とスタイルを確認させる。
      ・教師が説明しなければならない事項が多い部分です。
      ・テキストは生徒に読ませる、重要部分にマークをさせる、など、頭と目以外の
       部分も、活発に使わせるようにします。

   ② 言語としての日本語をイメージさせる。
      ・既習の文法事項の確認などを通して、現段階で知り得ていることを整理させます。
      ・『思考ルート』の「言語・認識・コミュニケーション」の部分も使います。

   ③ OS1 Lv1 St1~
      ・生徒が一方的に説明を受ける時間は1コマが限度です。
      ・今までの説明を具体的にイメージさせるために、OSに入ってしまいます。
      ・文の成分の確認なので、ある面では楽しみながら取り組める段階です。
      ・学びあいを取り入れます。

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    ④ グループで答え合わせをした結果の発表を行います。
       ・メンバー間で答えが一致しない問題はほぼありません。
       ・発表のポイントは「その答えであると判断した思考ルート(プロセス)」を
        わかりやすく伝えることにあります。

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       ・発表する側は、かなりしっかりとした発表ができています。
       ・一方で、「聞く側」の生徒の多くは「聞く姿勢」がとれていません。今までに
        「聞く」トレーニングを受けていないことが明らかです。
       ・次回の授業からは「聞き方」についても重要指導事項とすることにします。

(3)まとめ

  ・初回授業にもかかわらず、かなり活発な参加姿勢が見られました。
  ・授業の終わりでは、少し時間が取れたため、OS1の呼応の副詞問題も片づけて
   しまいました。(例年はスキップするステップです。)
  ・まだ「本気で論理を学ぶ」姿勢が取れていない生徒が何人かいますので、その生徒
   たちの意識改革に着手します。
プロフィール

2000年度より開智学園の教育理念を具現化するための新教育システムの構築に取り組み、2005年度に「S類」をスタートさせる。独自に開発した【S類メソッド】の柱の一つに『論理エンジン』を位置づけ、3つの力(論理的思考力、判断力、表現力)の総合体としての「智力」の育成に大きな成果を上げている。また、独自の理論に基づく「ソーシャル・スキルの育成」も人間力の向上に大きな効果をもたらしている。 趣味はギター。

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