2学期も中間考査が無事に終了しました。

 台風18・19号の影響で一部の授業が休講となってしまったため、
科目によっては、考査までに試験範囲の学習内容を終えるための工夫を
余儀なくされたものもありました。
 
私が担当している1年生の国語総合(現代文)の授業も、少なからず影響がありました。

 考査については教科書などの既習教材を試験範囲とすることはないため、
影響はありませんが、考査前に終了する予定だったディベートが終わらず、
考査をはさんでの学習となってしまいました。

 今回は、その「ディベート」について少し書きたいと思います。


 ディベートの学習を通して、生徒たちが刺激される学力(思考)は多彩です。
論題決定からディベートマッチ終了までの「思考の流れ」のなかで、準備部分だけを、
取り上げても、およそ次のような学力(思考)を刺激されています。

①論題を考える。
  → ディベータブルなテーマを、いろいろな領域から想起する力。
  → 各自のテーマを持ち寄り、仲間と相談し、意見を調整し、まとめていく力。

②論題を定義する
  → 「文」を分析する力。
  → パーツを言い換える力

③情報を集める。
  → 情報を取捨選択する力。情報の価値を見抜く力。

④指定された立場で立論する。
  → 核となる主張を論理的に構成する力。
  → 集めた情報を分析し、論拠となる情報を整理・集約する力。
  → 効果的に訴えるために表現を工夫する力。

⑤相手の立論を想定する。
  → 逆の立場からも論証できる力。
  → クリティカルに論題を分析できる力。

⑥相手への質問およびそれについての応答を考える。
  → 相手の論理と論拠とを推測する力。
  → 何を言わせたいための質問なのかを意図できる力。
     (ディベートマッチの全体像を俯瞰する力)

⑦相手からの質問とそれについての応答を考える。
  → 自分たちの立論を相手がどのように推測しているかを推測する力。

 ・・・ざっと挙げても、準備部分だけでこれくらいにはなります。
 実際にはここに挙げた項目以外にもいくつもの細目が存在しますし、
各項目も「どこまで深めるか」によって刺激される学力(思考)の幅と深さは
異なります。


 私はよく生徒たちに「現代文の授業は最初から最後までディベートの学習でよいと
考えている」と話します。これは何も奇をてらった発言ではなく、私の本心です。

 ディベートの学習には「読み理解する、わかりやすく書く、効果的に表現する、
適切に調べる、鑑賞する」といった、現代文で扱う、基本的な学習領域はすべて
含まれています。
 さらに社会に出てからも必要不可欠な情報分析・処理能力、クリティカルな思考力も
育むことができます。
 またそれらだけでなく、仲間と協力する力、相手の考えを尊重する姿勢、自分の考えを
わかりやすく伝えようとする態度といった、いわば「ソーシャル・スキル」も育成することが
できるのです。

 このように国語という教科の枠を超えて、生きた学力を育てることができるのが
ディベート学習です。

 機会を見て、実践報告もしたいと思います。