2012年07月

夏期独習合宿③

独習合宿3日目の朝です。
朝は多少の雲が出ていますが、間もなく晴れあがってしまいます。

(宿舎の部屋からの眺めです。)
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3日目の朝ともなると疲れもピークに近いのですが、今朝も早朝から野球部の生徒が自主練習をしています。
今回の合宿はいわば「学習合宿」ですので、スポーツをする時間はないのですが、事前に申し出があれば、学習に影響のない範囲での活動はOKです。

宿舎は山の頂上にあり、そこへ至る急な坂道は格好のトレーニング環境です。
宿舎専用の道路なので早朝には車の通行もなく、安全に活動できるのもメリットです。
今朝の自主練も坂道ダッシュからスタートしたようです。

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そのあとは、玄関前で素振りをしています。バットはもちろん埼玉から持参したものです。
朝食時間が近づいてきたため、朝食前半クラスの部員は部屋に戻ったようです。

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開智の野球部は決して強いわけではありませんが、一人ひとりの生徒は
地道に練習を重ねています。

勉強ばかりしていても健やかな成長を遂げることはできません。
逆に部活動だけに集中してしまっても、やはりアンバランスな成長となってしまいます。

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独習合宿でのわずかな時間を見つけて、自分たちで考えて、仲間とともに活動していくことができる…。まさに「開智生」「S類生」です。とても頼もしく感じました。

明日でこの合宿も終わります。S類マインドをもって、最後まで駆け抜けてほしいと心から願っています。

夏期独習合宿②

今日も熱海は快晴でした。
とはいうものの、宿舎は山のてっぺんにあるので、気持ち良い風が抜けます。
節電に配慮しつつ、合宿の2日目がスタートしました。

2日目といっても、この合宿でなすべきことは決まっていますので、
目新しい企画があるわけではありません。
今日も「独習」「講座」「学びあい」です。

生徒の中には環境の変化によって、疲れが出るのが早い子もいますが、
看護師さんのアドバイスをもらいながら、食事をしっかりとって頑張っています。


公民と化学の授業の様子です。
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数学では「論理」についての講座と、学びあいが行われています。
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今夜が折り返し点です。
「日々の総括」を通して、さらに中身の濃い合宿にしていってもらいたいと思います。

夏期独習合宿①

S類の恒例行事、夏期独習合宿が今日から始まりました。

今年度は1年生の生徒数が多いため、1年生と2年生とを分けての実施です。

2年生はS類伝統の那須高原にて、1年生は昨年度から始めた熱海にて、それぞれ3泊4日の日程で実施します。
私は1年生の合宿に同行しています。

熱海の合宿は現地集合・解散ですので、あまり電車に乗りなれていない1年生にとっては、集合するだけでも「小旅行」です。新幹線で来る生徒もいれば、踊り子号に乗ってやってくる生徒もいます。頑張って早起きをして普通電車で熱海まで到着する生徒もいます。
熱海で待ち構えている我々教師も、途中で乗り間違う生徒はいないか、ドキドキするのですが、今年も途中で迷う生徒や、遅刻する生徒もなく、順調にスタートすることができました。

宿舎に到着後は、昼食をとって開校式です。
開校式が終わるとすぐにプログラムに入ります。
本日の1時間目は、この行事名が示すように「独習」です。

独習合宿では教師による講座も行われますが、中心となるのは「独習」です。
1年生の独習の目的は、主に1学期に学習した内容について「習熟」することです。
高校生になると、中学生の時とは大きく異なり、新しく習うことが急激に増加します。
それらについて、「授業を聞いて分かったつもり」になることは、とても危険なことです。
「わかったフリ」のツケは、あとで自分自身に重くのしかかってきます。そうならないためにも、長期休業期間などを有効に使って、しっかりと「習熟」しておくことは極めて重要なことなのです。

したがって、S類では「学習事項の習熟」と「学習の自己管理」をメインテーマとして、この合宿を企画しているわけです。

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大きい教室を使って、多くの生徒が物音ひとつ立てずに、張りつめた空気の中で独習をする場面もあれば、小さい教室で高い集中力を持って独習に臨む場面もあります。
どのような環境の中でも、常に集中できるようになることも、独習合宿の目的です。

独習の合間には、1学期の学習内容をコンパクトにまとめた講座も行われます。

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これらの講座を通じて生徒たちは、「わかったつもり」になっていた部分がないかを検証していくことができるのです。

また、この合宿でもいろいろな場面で「学びあい」を取り入れた授業も行われています。
「学びあい」は「独習」や「講座」だけでは身につけることのできない「幅広い思考ルート」を獲得するためには不可欠な活動です。

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この風景は、数学での学びあいです。与えられているテーマは1学期の学習内容を踏まえたものですが、使用している課題は最難関国立大学の入試問題です。一人ではなかなかゴールにたどり着けない課題でも、互いに自分の考えを出し合い、試行錯誤しながら検討を重ねていくことで、ゴールに行きつきます。


午後の独習と講座が終わると、夕食と入浴の時間です。
この合宿の夕食はビュッフェ形式です。一生懸命勉強すると、おなかもすきます。
(みんな、たくさん食べてくださいね。)
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夕食の後は休憩時間を挟んで「夜の独習」です。
この時間が独習合宿のメインイベントとなります。
みんな、頑張れ!

彩の国フェア

今年も7月21日・22日に「彩の国フェア」が開催されました。

「彩の国フェア」とは、埼玉県内の高校受験生を対象とした「合同学校説明会」といった企画で、
県内の私立高校をはじめとし、近隣都県の私立高校、あるいは県立高校も参加をする、
県内最大規模の学校展示会です。

2日間でのべ4万人以上の来場者があり、
会場の「さいたまスーパーアリーナ」も熱気に包まれます。
「彩の国フェア」には非常に多くの高校が参加をしますので、
まだ受験校を決めていない中学生にとっては、受験校選びの絶好の機会となります。

高校側にとっても、多くの中学生に自校のアピールができる場ですので、
どの学校も万全の準備で臨みます。

開智高校では今年度ものべ50人の態勢で、
中学生やその保護者のみなさんとお話しさせていただきました。


(開場前の打ち合わせです。)
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1つの高校に割り当てられているブースは大きくないため、
対応させていただく教師の数が限られてしまいます。
そのため、例年開智高校のブース前には相談待ちの長蛇の列ができてしまいます。

「お待たせしたくない」という気持ちと、「せっかく待っていただいたのだからじっくり話を伺いたい」
という気持ちとの間のジレンマに毎年悩まされます。

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開智高校ならびに開智未来高校のブースに足を運んでいただきました皆様、
ありがとうございました。
また、ゆっくりとお話を伺うことができませんでしたこと、深くお詫び申し上げます。

夏休み中にも、また2学期になってからも、学校説明会や個別相談会を設けておりますので、
ぜひそちらにもご参加いただければと存じます。

開智高校HP … 学校説明会(案内)
http://www.kaichigakuen.ed.jp/koutoubu/index.html

夏期講習会スタート

昨日19日で1学期の授業も終わり、今日から夏休みです。
夏休みといえば夏期講習会。さっそく全学年で今日からスタートしました。

1年生と2年生は今日から5日間の「第1期」と、8月下旬の「第6期」に講座が組まれています。
1日に実施する講座数は英数国を中心として4コマ。1コマは60分です。
レギュラーの授業を担当している教師がそのまま講習会を担当するので、受講する生徒たちの学力特性を十分に把握した講座内容となっています。
受講費用も1コマあたり360円ですので、ほぼすべての生徒が受講します。

1・2年生にはこの講習会のほかにも7月下旬に3泊4日の「独習合宿」が行われます。
(この模様については、後日レポートします。)


3年生は今日から8月末まで講習が組まれています。1タームあたり5日間の講座が全部で6ターム、第1期から第6期までの延べ30日間にわたる講習会です。
3年生は原則として1コマ120分の講座が1日あたり4~5コマ組まれています。
生徒たちは自分の学力と志望大学に合わせて受講計画を立て、講座に臨みます。
3年生の講座も60分あたり360円ですので、予備校に行くよりもはるかに少ない受講費用で、しかも自分の学力特性に合った講座を受講することができます。

今回の講習会では、私は3年生の現代文講座(第1期、第2期)を担当します。講座の対象はS類の中でも特に最難関国立大学を目指している生徒が在籍している「Tコース」の生徒たちです。
(「Tコース」については、学校説明会などで紹介していますので、興味のある中学生や、その保護者の方は、ぜひ学校説明会にお越しください。)

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さて、本日からの第1期はセンター試験の過去問題を使った演習です。1時間目(120分)はTコース文系の生徒12名、2時間目はTコース理系の生徒13名と一緒に勉強していきます。

センター試験の現代文は大問1つにつき、20分が標準的な解答時間ですので、まず、生徒たちがその時間内に問題を解くところから講座がスタートします。
(最難関国立大学を受験する生徒たちは試験科目が多いため、家庭での独習〈習熟〉時間が不足しがちです。そのため、現代文については独習時間を割いての予習はさせません。)

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20分でひと通り解答し終ると、次はグループごとに「解答ルートの検証」を行います。
受験期であっても、「問題を解く → 教師の解説を聞く」だけでは現代文の学力は向上しません。
現代文は入試において、常に「初見」の文章を読みこなし、出題者の設問要求に的確に答えていくことが求められます。この能力は「正解にたどり着くルートを意図的にたどっていく思考力」と言い換えることができます。
グループの中でそれぞれがお互いに自分の「思考ルート」を発表しあい、それを検証することで、自分の思考の甘さを指摘してもらうことができたり、自分には思いつきもしなかったようなルートを、友人の発表を通して手に入れることができたりするのです。

長年、私はこのスタイルで指導をしていますが、高校現代文の指導の総仕上げのスタイルとして極めて効果的な手法だと自負しています。また、入試対応力を確実なものにしていく手段としても有効です。

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「解答ルートの検証」が終わると、各グループには「担当問題」が指定されます。
各グループの代表者は前に出てその設問についての解説を行います。
グループでの話し合いではやや漠然とした説明でも相互理解を取り付けることができてしまうため、それを解消するために、全員の前で発表することが重要になるのです。
全員の前で発表するためには、当然「筋道立った」話し方をしなければなりません。この経験が更なる国語力の向上に役立っているわけです。

このような形で、センター試験の大問1つにつき、約60分をかけて学習します。評論1題、小説1題でちょうど120分の講座が完結します。


今日は7月とは思えないような涼しさで、過ごしやすい1日でした。気象情報によれば、明日まではこの涼しさが続いてくれるようです。
明日も240分授業、頑張ってきます

名古屋研修会②

今回の名古屋研修会では、今までの研修会と同様に「『論理エンジン』の指導法」についての具体的なお話に加えて、以下の2点を盛り込んでの講演となりました。

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1つ目が「授業以外の場面における論理エンジン・メソッドの活用事例」です。

私が『論理エンジン』の指導を始めて間もなく10年になろうとしていますが、そもそも『論理エンジン』を自分の指導に取り入れようと考えたのは、国語(現代文)の学力を伸ばそうと考えたからではありません。
根本となった動機は「考える人間を育てたい」。これに尽きます。

人間は必ず言語によってものを考えます。したがってその言語がしっかり鍛えられていなければ、思考そのものが不確かなものとなってしまいます。
この、「言語を鍛える」過程は、本来であれば家庭での教育、そして学校教育が責任をもって担わなければならない部分なのですが、最近ではどうもそのあたりの「教育」があやふやになっている。私はそう感じずにはいられません。

学校教育力の低下を話題にすると、必ず「ゆとり教育の弊害」といった議論が顔を出しますが、「日本語力を鍛えられない学校教育」という点に焦点化すると、「ゆとり教育の弊害」どころではない、もっと大きな「教育の瑕疵」が、戦後から現在に至るまで全く解決されないままになっていると私は考えています。
(この話は、とても長くなってしまいますので、この辺で終わりにします。)

さて、そのような「私の思い」(=「考える人間を育てるために、日本語力を基礎から鍛えなおしたい」)を叶えるためにうってつけの教材だったのが『論理エンジン』だったわけです。

したがって、『論理エンジン』は、自分自身の国語教育に取り上げることはもちろん、開智高校で新しくスタートさせる類型(S類)の創造を任せていただいた際にも、そのSchool Identityの大きな柱として『論理エンジン』を位置づけました。
「考える人間を育てること」、これは私の教育理念そのものなのです。

また、『論理エンジン』が「言葉を鍛え、思考力を鍛える」教材である以上、その対象は生徒に限るものではありません。したがって、私は『論理エンジン』を使って校内での「教員研修」や「保護者向け講座」なども行ってきました。

今回の研修会では細かなところまでの紹介はできませんでしたが、取り上げさせていただいた実践報告は、日頃から直面なさっている自校の課題に照らして、多くの先生方から共感していただくことができたようです。

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2つ目は、この4月より教育現場に出した『思考ルート』の実践的な使用法についてです。

今までお話ししてきたように『論理エンジン』は「思考力を鍛える」教材です。思考力は人間活動の根本となるものなので、あらゆる教科学習においても、その根本に必要不可欠な力となります。
したがって(理想的には)思考力の鍛錬はすべての教科学習の場で行われるだけでなく、あらゆる教育の機会をとらえて実践されなければならないことなのですが、現実には国語、特に現代文の教科学習の場で中心的に取り組まれているのが実情です。

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ところが、『論理エンジン』を効果的に指導するためには相応の「指導者スキル」が必要ですので、多くの国語科教師が取り扱うにはややハードルが高く、このことが、多くの先生方が『論理エンジン』の持つ高い教育力を知りながらも実際の指導に踏み切れない原因となっています。
このハードルを越えやすくするために、私が開発した教材が『思考ルート』なのです。

『思考ルート』は多くの先生方が使用している「教科書」を使って『論理エンジン』の指導ができるようにした教材ですので、学習する生徒にとっても、指導する教師にとっても違和感なく『論理エンジン』メソッドを身につけることができるようになっています。

今回の研修会では、実際の教材を手にしていただきながら、指導のポイントなどを紹介させていただきました。
会場にはすでに『思考ルート』をお使いになっている先生方もいらっしゃいましたが、今回初めて『思考ルート』の実物教材を手にされる先生方もいらっしゃいましたので、その先生方にとっては、今までになかった「論理エンジンの切り口」を体験していただけた機会になったと思っております。

研修会終了後にも会場に残っていろいろ質問をしてくださった先生方が多くいらっしゃり、大変に嬉しく思いました。

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今回の研修会はやや内容が盛りだくさんであったこともあり、1つ1つの項目に割ける時間が短くなってしまったことが残念でしたが、いろいろな観点から興味を持っていただくことができたようです。また、2学期以降の授業見学のお申し出などもいくつも頂戴いたしました。

今回のような研修会を通して、教科にかかわりなく、多くの先生方に「言葉を鍛える」「思考力を鍛える」ことに興味を持っていただくことで、少しずつでも、現在の「ピンボケ教育」を「人材教育」に動かしていきたいと、私自身も思いを新たにさせていただくことができました。

今回参加してくださった多くの先生方をはじめ、「思考力育成」に日頃からそれぞれの現場で格闘なさっていらっしゃる先生方、今後とも、よろしくお願いいたします。

名古屋研修会①

名古屋研修会が無事に終了しました。

名古屋での研修会の開催は久しぶりです。
今回は出口先生とのコラボ講演ということもあり、非常に楽しみにしていました。

天候はあいにくの雨模様。しかも平日開催の研修会でしたが、約100名にのぼる先生方が
参加してくださいました。

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第一部は出口先生のご講演です。
テーマは『論理エンジン』の開発意図や、効果的な使用方法などです。

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現代の国語教育が抱えている問題点とそれを解決していくための「論理エンジンメソッド」が
整然と語られていきます。

今回参加された先生方の中には、テキストとしての『論理エンジン』だけをご覧になっている
段階の先生方も多くいらっしゃいますので、みなさん熱心にメモを取っていらっしゃいました。

ご講演のあとは、質疑応答です。

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ご自身の学校での実践を通して直面されている課題を解決するためのアドバイスを求める先生、
来年度からの導入に向けて、より詳しく知りたい項目をお尋ねになる先生、
『論理エンジン』指導の、より広い可能性について提案なさる先生など、
多くの先生方が、それぞれのお立場から質問なさいました。
いずれの先生も『論理エンジン』の素晴らしさに触れ、この教材を使って、一人でも多くの生徒を
伸ばしていきたいという思いを強く持たれていらっします。
そのお気持ちがひしひしと伝わってくる質疑応答となりました。

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質疑応答のあとは、間もなくスタートする「『論理エンジン』ブロードバンド学習システム」についてのプレゼンテーションがありました。

このシステムは一口に言うと『論理エンジン』のオンデマンド版です。
教えてくれるのは、もちろん出口先生ご本人です。
PCとインターネット環境があれば、自宅に居ながらにして『論理エンジン』の学習ができるという、
画期的なシステムですから、「『論理エンジン』を学習したいのだが、自分の通っている学校では
『論理エンジン』を教えてくれない」といった悩みを抱えている中学生・高校生にとっては、
個人で取り組めるこのシステムは朗報だと思います。
また、学習塾などでは塾単位でこのシステムを導入するところもあると伺っていますので、
いろいろと情報を集めてみるのもよいと思います。

このプレゼンテーションの後、20分程度の休憩をはさみ、第2部として私がお話しさせていただきました。
この模様については、次回報告したいと思います。

プロフィール

2000年度より開智学園の教育理念を具現化するための新教育システムの構築に取り組み、2005年度に「S類」をスタートさせる。独自に開発した【S類メソッド】の柱の一つに『論理エンジン』を位置づけ、3つの力(論理的思考力、判断力、表現力)の総合体としての「智力」の育成に大きな成果を上げている。また、独自の理論に基づく「ソーシャル・スキルの育成」も人間力の向上に大きな効果をもたらしている。 趣味はギター。

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