2011年08月

夏期校内教員研修(第2日目)①

夏期校内教員研修の2日目が終了しました。

本日は開智未来中学高等学校(埼玉県加須市)が会場です。
開智未来中学高等学校は、本年4月に開校したばかりの、
開智学園の中では最も新しい学校ですが、
未来という言葉が表わすように、次代を担う子供たちに最先端の
教育メソッドを取り入れ、指導しています。

未来メソッドは受け売りではなく、校長(関根均先生)が開発した
「学びのサプリ」を基盤に成り立っています。
また、『論理エンジン』も中学校・高校の両方で導入しています。
中学校では『システム中学国語』も併せて取り入れています。

いよいよ、学園の専任教員、約250名が一堂に会する、
年間2回行われる、大規模な研修がスタートしました。


本日の研修は、午前中に研究授業参観、午後は校長による「教えのサプリ」
および、教科別研究協議といった内容です。

国語科の研究授業では、中学校・高等学校ともに『論理エンジン』をベースとした
授業が行われました。

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未来中学高等学校の国語の授業は、上の写真にもあるように、基本として
「生徒が」授業を進めていきます。
また、複数クラスを合併して行ったり、学びあいが効果的に進むように、
通常教室ではなく、小ホールタイプの教室で日常的に授業が行われます。

教科書を単元進行で教えていったり、『論理エンジン』をドリルのように
教えていくといったことは全くありません。

これは私が勤務する開智高校(高等部)でも同様ですが、『論理エンジン』
によって「日常生活に困らない程度の日本語力」からの「意図的な脱却」を
徹底的に指導しながら、論理的思考力・判断力・表現力を、いろいろな
角度から育成できるような「自校開発プログラム(教材)」に沿って、指導
しています。

私は中学生に対する指導経験が乏しいので、特に中学部の授業は発見が
多く、とても勉強になりました。
中学生は、高校生に比べて論理のとらえ方に緩い面がみられたり、
日常言語による文意把握に流れてしまうような面は、当然あるのですが、
一方で、のびやかな思考ができるので、学びあいも活発で、
教師が気付かないような発見をする生徒がいたり、大人とは違った切り口から
発表をしていく生徒がいたりと、実に多彩です。

中学生の持つ可能性の豊かさに感動するとともに、それを着実にサポートし、
伸ばしてこられたH教諭の指導力の素晴らしさにも感動した授業でした。

夏期校内教員研修(第1日目)

今年度の夏期教員研修の第1日目が終了しました。

今回の研修テーマは「学びあい」です。
開智高校では数年前から本格的に「学びあい」をいろいろな授業に
取り入れており、今日の研修では2学期に行う「学びあい」について
個人レベルと教科レベルとで立案・発表・研究を行いました。

日ごろから相互授業参観などで他教科の先生の実践を見せていただくことも
多いのですが、いくつもの教科が集まって発表・研究する機会は
それほど多くないので、とても勉強になります。

今回は特に「学びあいのプランニング」に焦点化しました。私のほうから
「プランニング」のタスク・ブレイクダウンの基本ルートを紹介させていただき、
それに沿った形で、各先生に策案していただいたのですが、日頃から
「学びあい」を積極的に取り入れている先生方にとっても、別な切り口を
発見していただけたようで、実りある研修とすることができました。

明日は会場を開智未来中学・高等学校に移し、本学園の
総合部(小1からの12年一貫教育部)
中高一貫部(中1からの6年一貫教育部)
高等部(高1からの3年間教育部)
そして開智未来中学高等学校との
コラボ研修です。
ここでは授業参観と研究協議会を中心とした研修を行ってきます。

夏期学校説明会が終わりました

今年度の夏期学校説明会が終了しました。

7月に3回実施した説明会も8月は本日1日だけです。

そのせいか、来校者も多く、
午前の部では約900名、午後の部でも約200名の
中学生ならびに保護者の方々がいらっしゃいました。
ご来校いただきました皆様、誠にありがとうございました。

午前の部では予定していた会場(約400名収容のホール)では
全く収容しきれず、急きょ会場を2つ追加しての3会場実施となりました。

嬉しい悲鳴です。


この学校説明会では本校の教育方針や教育の特色などをご説明するのですが、
あわせて『論理エンジン講座』を実施しています。

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本校の生徒の中にも多いのですが、本校の受験を希望する中学生の中にも
「国語だけはどうも勉強の仕方がわからない」という悩みを抱えている人が、
たくさんいます。国語の成績がどうしても乱高下してしまうんですね。

そういった悩みを少しでも解決し、本校に入学するかどうかは別として
一人でも多くの中学生に「論理的な思考ルート」を身につけてもらいたい
との思いから、実施しています。本年度で5年目を迎える企画ですが、
おかげさまで好評をいただき、リピーターも多く、充実した時間を
共有させていただいています。

基本的には高校受験に向けた中学生用の講座なのですが、一緒にお聞き
いただいている保護者の方々からも、
「自分のためになった」とのご感想も
多くいただき、喜びも倍増といったところです。

次回の説明会は9月下旬から始まる秋期説明会です。
ここでも論理エンジン講座は引き続き行います。
この講座を通して『論理エンジン』ファンが
もっともっと増えてくれるように頑張ります!

「学びあい」その4

今回は「学びあい」がもつ、もう一つの意義、
「ソーシャル・スキルの育成」です。

中学生・高校生が一日の活動時間のうちの大半を過ごす学校は、塾や予備校とは異なり、教科学習だけを行う場ではありません。
学校生活は授業を中心とした「正課活動」と、部活動や委員会活動などの「課外活動」あるいは「行事」などから成り立っています。

たとえば部活動。運動部にしても文化部にしても、基本的な技術やルールなどは顧問やコーチ、あるいは先輩などから教えてもらいます。そのあとは一人一人の生徒が練習をし、自分に磨きをかけていきます。その過程で重要なのが同級生や先輩たちとのコミュニケーションです。アドバイスをもらったり、お互いに不十分なところを指摘しあったり、優れたところを盗んだりといった「生徒同士のつながり」を通じて、急速に力を伸ばしていきます。

このような課外活動でのコミュニケーション体験は生徒の「ソーシャル・スキル」を育成します。部活動や委員会活動などの場において「学びあう」ことを通じて生徒たちは「ソーシャル・スキル」を高めているわけです。文化祭や体育祭の運営においてもさまざまな苦労を通して「ソーシャル・スキル」を高めていくわけですね。

この「学びあい」が持つ「ソーシャル・スキル育成力」を課外活動の場だけで生かしているのは非常にもったいないことです。学校生活の大部分を占める授業においても「学びあい」を積極的に取り入れることで、生徒はどんどん伸びていきます。
授業での「学びあい」において、

・人の話に真剣に耳を傾ける

・自分の考えや気持ちを、わかってもらえるように工夫しながら伝えていく

・いろいろな人の考えを聞いたうえで、みんなで相談する

・より良いものを協力して創りあげていく

といった体験を積み、単なる学力に偏ることのない、バランスのとれた人間力を生徒たちは身につけていくことができるのです。


大学が、社会に貢献するための「専門性」を身につける場であるとすれば、高校はその「基礎力」を磨く場です。この「基礎力」には「学力」だけでなく「ソーシャル・スキル」つまり「社会性」も含まれます。

私は個人的には「社会性は高校生までに確立すべき」と考えています。なぜなら今の大学には社会性を育むだけの教育力はないと強く感じているからです。
大卒学生の就職難が社会構造の面からだけクローズアップされますが、原因はそれだけではないと感じています。就職を意識するときになっていろいろ準備を始めても「お里が知れる」状態なのではないかと思うのです。

だからこそ高校は「最後の砦」として次の世代の「ソーシャル・スキル」を育成する責任があると考えているわけです。
社会に出てから「人手」となることなく、求められる「人材」となるために、高度な「専門性」と豊かな「ソーシャル・スキル」それぞれの基礎を、生徒たちにはきちっと伝えていきたいと思っています。

「学びあい」その3

今回は(「その3」にしてやっとですが…)「学びあい」本体について取り上げます。

私にとっての(私の授業を受けている生徒にとっての)「学びあい」の意味は、その1でも紹介しましたが、「効果的な思考ルートの獲得」にあります。

一人の人間が考えることができる範囲あるいはルートというのは限られています。なぜなら私たちが持っている知識や経験が限られているからです。
この知識や経験は学習を通して、あるいは生きていく過程で「徐々に」は増えていくので、時間をかければ思考ルートは増やせるわけですが、
実はもっと「てっとり早く」増やす方法があります。それが「思考ルートを共有する」という方法です。

同じ課題(たとえば入試問題でもよいのです)を解決する場合、一人ひとり考え方が異なります。似たような切り口のものもあれば、自分が全く思いもつかなかったような切り口で考えている仲間もいます。
特にこの「自分には思いもつかなかったような切り口」は自分一人で勉強している(考えている)だけでは文字通り「思いつかない」ものです。思いつかないことを自分一人で思いつくようにするために膨大な時間をかけることは、無駄だとは思いませんが、時間のロスが大きいことは確かです。対投資時間効果が極めて低い学習(取り組み)です。

そのような非効率な努力をするよりも、その「思いつき方」、つまりその「思考ルート」を仲間と一緒に体験的に学習し、身につけ、余った時間は別のことに費やすほうが間違いなく効果的でしょう。
同じ課題についても解決のルートはいろいろあること、課題によっては、その解決策(答え)もいろいろあることを、互いに自分の「思考ルート」を発表しあい、質問し、話し合うことを通して、共有し、自分にないものを仲間から体験的に学ぶことで、本来は限られている自分の「思考ルート」は短時間で飛躍的に増加していくのです。


ところが、残念なことに、小学生のころから「たった一つの正解にたどり着くこと=課題(問題)を解決すること」と思い込んできた生徒は、この「学びあい」がなかなか上手にできません。「たった一つの正解」を求めてしまうんですね。

教師が授業で生徒に「教える」ことも、実は「一つの思考ルート」を提示しているにすぎません。にもかかわらず、こういう生徒は「先生の言うこと=正しいこと」と頭から思い込んでしまっているので、いろいろ「考える」よりも先に「正解」を求めますし、教師が示した「一つの思考ルート(案)」をノートに写すと、それで満足してしまうのです。これでは「思考ルート」を増やすことなどできません。

このタイプの生徒は、学校にいるうちはまだよいのですが、社会に出てからは恐らくあまり使い物にならないでしょう。「人手」になることはできても「人材」になることはできないと私は思っています。
(この点については、次回取り上げます。)

ですから私の授業では、高校1年生はもちろんですが、高校3年生の入試問題演習の授業においても「学びあい」の時間が非常に多く設けられています。
「学びあい」を通して、受験偏差値など足元にも及ばない「価値ある力」を生徒たちは獲得してくれているのです。

「学びあい」その2

思考するためには二つのものを手に入れる必要があります。

1つは思考のための「ツール」=「言葉」です。

もう一つは思考のための「材料」=「知識」です。

思考のルートがうまく取れない、あるいは思考が深まらないケースの多くは今挙げたどちらかが不十分であることが多いようです。

これを解決するのが『論理エンジン』であり、「知識の習得」です。

『論理エンジン』についてはここでお話しするまでもありませんので、「知識の習得」について取り上げます。

「知識の習得」にも二つの側面があります。

1つは、いわゆる「知識」そのもの。
 英単語や古文単語、歴史や理科の諸事項などです。

もう一つは「基本的な考え方」。
 数学や化学・物理の「式」や、経済の考え方などです。

これらは授業で先生から習ったり、自分で覚えたりすることを通して、確実に「身につける」ことが必要です。

私はよく人間の思考の仕組みをコンピュータに例えるのですが、そこでいうところの「HDD勝負」の部分ですね。基本となる考え方や、考えるための材料がなければ、思考そのものが成り立ちません。

知識の習得」のフェーズは、ときには単調で面白くないことがありますので、「勉強すること」=「知識の習得」と間違った思い込みをしてしまっている場合、「なんで勉強するのか、意味がわからない」といった「見当違いの悩み」を抱えてしまう人が出てくることもあります。

そんなときは、あまり深く悩まないでください。「意味」は簡単です。いろいろなことを考えるためには、いろいろなことを知っていなければならない。ただそれだけなんです。



ところが人間の脳というのは「不必要と思われることは積極的に忘れる」ようにできていますので、心のどこかで「こんなこと覚えて、なんの役に立つのかなあ」という疑問を抱えていると、一生懸命に覚えようとしても、あるいは覚えてもとっとと忘れてしまいます。

したがって、心から「どうしても必要だ」と思いながら習得することが必要になってきます。これを行うのが「独習」です。

他人から「教わって」いる段階は「受け身」の状態ですので、頭はまだまだ必要性を十分に感じ取っていません。習ったこと、知ったことを自分自身の中に持ち帰り、自分自身としっかり向き合って、「その必要性を身に染みて実感する」ことができたとき、それは知識としてHDDにしっかりと格納されるのです。


 

「学びあい」その1

今回から「学びあい」についてお話をしていきたいと思います。

私が「学びあい」を授業に多く取り入れるようになったのは今から6年前、S類をスタートさせてからです。
それまでにもディベートなどでは授業中に話し合い場面は多かったのですが、本格的に「学びあい」スタイルの開発に取り組み始めてからは、教科書や論理エンジンの学習のときはもちろん、大学入試問題演習などにも積極的に「学びあい」を取り入れるようになりました。

私は「学びあい」が持っている効果を2つ定義しています。

① 教科学習における、効果的な思考ルートの獲得。

②「ソーシャル・スキル」の向上

です。

今回は一つ目の項目「効果的な思考ルートの獲得」の前編です。


先日実施した「独習合宿」という名称にも反映させていますが、私は勉強とは本来「独りで」するものだと思っています。(その思いは現在も変わっていません!)
しかし、「独習」するだけで効果的に学力が育まれるとも思っていません。また教師が「教え込む」ような授業も生徒を伸ばすとは思えません。(授業準備も一生懸命、授業中も一生懸命、でも生徒が伸びない…NG教師については、また別の機会にお話ししたいと思います。)

教科学力の習得過程にはいくつものルートがあると考えていますが、私は

「知識の習得」+「独習」+「α」

を基本ルートとしてとらえています。この「α」を担うもの、「独習」の効果をより高める「触媒」のようなものが「学びあい」であると考えています。
この「学びあい」の場が授業にあることによって、限られた時間の中でも効果的に学力を向上させていくことができるのです。

次回はこのことをもう少し詳しく紹介していこうと思います。 



夏期講習第4期が終わります。


明日12日(金)で、夏期講習第4期が終了します。
勉強合宿に出発して以来、ほぼ休みなしで走ってきましたが、これでひと息です。

しかし、のんびりできるのは私だけで、3年生の多くは全く休みなしで頑張っています。
7月中旬に始まった夏期講習と摸試で、さすがに疲れもピークに来ているはずですが、
みんな暑さにもめげずに元気に学校で勉強しています。

特に、先週と今週の土日は2週連続の東大摸試があるため、相当なプレッシャーだと
思うのですが、逆にこの講習での成果を試す場として意気込んでいる生徒が多く、
頼もしく感じています。

さて、明日で終了する私の講座ですが、今回は主に東大をはじめとする難関国立大学
対策講座(130分×10日間)で理文それぞれにセットしました。
私の講座の特徴は、それがたとえ東大対策講座であろうと、「学びあい」を必ず取り入れる
という点にあります。

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お互いの答案を確認したり、、思考ルートのすり合わせをするのですが、
グループ思い思いのスタイルでかなり活発に意見交換や検証が行われます。


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             (男子だけじゃありませんよー。わが校は共学です!)

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S類では高校3年生でも積極的に取り入れている「学びあい」は、生徒たちの「論理的思考力」を
飛躍的に向上させます。

この取り組みについて、次回から何回かに分けてご紹介していこうと思っています。

独習合宿に行ってきました! その2

朝6時30分に起床し、23時(質問のある生徒はこの後も勉強しますが…)に就寝するまで、食事と入浴時間以外はすべて学習という過酷な環境の中にあっても、S類生のパワーは全く衰えません。
学習に向かうパワーはもちろんですが、食事時間や休み時間にも実に元気に活動しています。

…と、ここでそんな元気いっぱいの生徒の写真をお見せしたかったのですが、なんと悲しいことにたくさん撮ってきた写真を入れた私の自宅PCが、昨日より不具合が生じ、現在入院中なのです。もしかしたら写真データはすべて…、生徒のみなさんごめんなさい。

というわけで、話だけになってしまいますが、先ほど紹介したように「疲れを知らない」生徒たちは、毎年のこの合宿で学力的にも、人間的にもひと回り大きくなって埼玉に戻ってきます。
特に1年生は、この合宿での先輩の姿から強烈な衝撃を受け、やっと「S類生」になっていくのです。

さて、8月1日に熱海から戻った私はというと、翌2日からは学校に戻って夏期講習。
朝8時から120分コマが2つ、かわいい(?)3年生たちがお待ちかねです。
先週末に夏期講習第3期の5日間が終わり、今日から第4期の5日間が始まりました。今期も毎日240分です。

体力が持ちますようにー。

独習合宿に行ってきました! その1

恒例の「S類独習合宿」が7月29日~8月1日の3泊4日で行われました。

今年度からは実施地を那須高原から静岡県熱海市に移し、S類の1.2年生約260名とともに勉強漬けの4日間を過ごしてきました。

この合宿では「学力を伸ばす」こと以上に大切な目的があります。それは「精神力を鍛える」ことです。
自分に負けない強い心は、大学受験だけでなく、生きていくうえでとても大切ですよね。でも「心を鍛える」ことは口で言うほど簡単ではありません。だから「みんなで力を合わせて、励ましあいながら」鍛えていくのです。

その「精神力」を鍛えるためのツールが、S類生の場合には「学習」です。
合宿では毎日10時間以上の学習時間が用意されていますが、その半分は「独習」と呼ばれる時間です。


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独習では学習内容・使用教材・学習時間をすべて自分で決めなければならないので、実行だけでなく、準備も大変です。
でも、自分のスタイルで勉強できるのは大きな魅力です。
プロフィール

2000年度より開智学園の教育理念を具現化するための新教育システムの構築に取り組み、2005年度に「S類」をスタートさせる。独自に開発した【S類メソッド】の柱の一つに『論理エンジン』を位置づけ、3つの力(論理的思考力、判断力、表現力)の総合体としての「智力」の育成に大きな成果を上げている。また、独自の理論に基づく「ソーシャル・スキルの育成」も人間力の向上に大きな効果をもたらしている。 趣味はギター。

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